夕方になって、1人、また1人と帰って行った。
息子と私は最後までいた。
帰り道が同じ方向の子3人と一緒に帰った。
そのうちの1人の男の子は、引っ越しのため転校する子だった。
その男の子はクラスの中でも一番人懐こくて、私によく話しかけてくれた子だった。
私はその子の存在にも助けられていた。
だからその子が転校すると聞いた時、とても寂しい気持ちになった。
今朝、転学の挨拶で学校に寄った私は、玄関でたまたまその子に会った。
保健室に出席簿を届けに行く係のため、その子は玄関に降りてきたのだった。
「今まで仲良くしてくれてありがとうね」と挨拶すると、
「◯◯ちゃんのお母さんてなんていう名前?」
と突然聞かれた。
「下の名前?」
「うん」
「◯◯だよ」
「へぇ。良い名前だね」
すごく嬉しかった。
すごくすごく嬉しかった。
名前を褒められたからだけではない。
私の存在を承認されたような気持ちになったからだ。
息子のお母さんという存在だけではなく、1人の人間としてちゃんと見ていて、相手を知ろうとしてくれてるんだなぁと。
公園の帰り道、その男の子は歩きながらこう言った。
「僕、◯◯ちゃんのお母さんの名前覚えたよ。◯◯だよね!」
嬉しそうにそう言ってくれた。
何度も何度も手を振った。
次に会える時がもし来たら、きっと大きくなってるんだろうなぁ。
この小さい背丈の姿は今だけなんだろうなと思いながら、彼の姿を目に焼きつけた。
ありがとう。
またね。
またきっと会えますように。
彼の後ろ姿を見送りながら、そう心の中で祈った。
続く。
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