満月の夜。夫とのふとしたやり取りがきっかけで、どうしようもなく外へ飛び出したくなった。
「外の空気を吸ってくる」
そう娘に伝えて、素足にサンダルで外へ出た。
寒い。
でももう戻れない。
空を見上げると、綺麗な満月。
そうか、今日は満月だったんだ。
50mほど離れたところにある、コインパーキングのガードレールに腰掛けた。
そんな至近距離に落ち着く自分がちょっと可笑しい。でも家を出たいわけじゃない。ただ、たまにどうしようもない不自由さを感じることがある。そこから飛び出したくなったのだ。
薄着で素足にサンダル。コインパーキングのガードレールに佇む中年女性は滑稽だったかもしれない。
でも自分の気持ちを優先できた。
そのことに清々しさを感じた。
満月の光に照らされて、心のしこりを手放せたような気がした。
もっと自由でいいよ。
そんなに背負わなくていいよ。
寒いから帰ろう。
夫と息子はお風呂に入っていたし、誰も気づいていないだろう。
満月の夜、私の5分ほどの家出は終了した。
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