『赤と青とエスキース』感想

 読書する時間が持てなくて、ならば聴こうと登録したオーディブル。それすら聴く時間が持てなくて、解約しようとさえしていました。いや、でも待てよ、本当に聴く時間ってないのかな。ちょこちょこ隙間時間に観ているyoutubeを読書に充てたら良いんじゃないかと思いました。

 なんでも良いから聴いてみよう。本屋さん大賞受賞作なら良作揃いだろうと当たりをつけて、その中から気になったタイトルを選びました。それが「赤と青とエスキース」。タイトルからして絵に関するお話なのかな。それくらいの予備知識で聴き始めました。

 4章のお話で構成されていて、1章ずつが違う登場人物のストーリーです。でもそれぞれのお話が繋がっていくのだろうと、聴き進めているうちに気づきました。1枚の絵画を基軸に、このストーリーたちはどこかで伏線回収されるんだろうな。どんな風に回収されるのかな。そんな期待を抱きながら読み進めました。

 4章では、思いがけず私が抱えている問題に似た症状のお話が出てきました。主人公の気持ちに共感し、そして周囲の人が主人公にかけた言葉たちが、まるで自分にかけてもらった言葉のように心に染み渡っていきました。

 しんどいだろうね。でも誰もが抱えうる問題。脳がバグを起こしているだけ。焦らなくていい。一度きりの人生だなんて気負わなくていい。生きている間に何度でも違う人生を味わえる。でも身体はひとつしかない。だから自分の身体を大切にして。近くにいてくれる生命に感謝して。

 そんなメッセージを受け取りました。人生のつながりを感じるお話でした。

 そうすると自分の人生で起こった出来事たちが、急速に繋がっていく体験をしました。あの時出会ったあの人のストーリーに私は感動したんだった。それは私がそんな人生を送りたいなと思ったからだった。友達のあの人は、私がやりたいと思っていることをもう実践している先輩だ。あの人に話を聴いてみたら良いんじゃないかな。先送りしているあの案件、忙しい時期だからと及び腰になっているけど、やっぱりやってみたら良いんじゃないかな。

 全てのことはつながっている。この小説を読んで感じたことだ。感謝の気持ちが溢れた。

そして、物語が人に与える力を感じた。私の体験も、誰かの力になる。一歩踏み出そうと背中を押されたのだった。



 

365日の展覧会

はは、むすめ、むすこのアートな日々

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