同じ場所だから分かる成長


 半年に1回、大学病院の小児科で息子の経過観察をしてもらっています。2歳半からなのでまもなく7年のお付き合いです。臨床心理士の先生はずっと変わらず同じ先生なため、毎回診察の度に息子の成長ぶりに驚いてくれます。

 病院に通い始めた頃の私は、息子の障害の可能性を受け入れられず「こんなこともできる」「あんなこともできる」と、息子のできることを主張していたように思います。そういう時期をほどなくして経て、私の考え方は変わっていきました。障害があってもなくてもいい。それが問題ではない。大事なのは目の前にいる息子の困り感を減らし、本人と家族の生活の質を上げていくこと。そのための具体的な方法を模索し、ABA療育に出会い、そこから数年間の地道な取り組みを経て、少しずつ少しずつ良い状態になり今日まで来ました。その途中途中を先生は知ってくださっているので、「お母さん本当に頑張りましたね」と言ってくださいます。その言葉がじーんと心に沁み入ります。

 今日は小児科の先生の診察もあったため待ち時間が長く、久しぶりにちょっと態度が崩れた場面がありましたが、それでも振り幅としては小さく、よく頑張ったと思いました。

 診察後はいつものレストランでランチ。母と私と息子でいつも行くお店です。今日はお子様ランチではなく、ビーフカレーを注文した息子。大人一人前をぺろりと完食しました。すごい!そして終始穏やかな時間が流れ、母も私もゆったりと安心して食事を味わうことができました。以前は息子を落ち着かせるための対応に追われ食事を味わう余裕はなかったので、幸せ感が倍増しました。

 ランチの後はいつも行く公園へ。そこでも穏やかに時が流れました。同じ場所だからこそ成長がよく分かりますね。帰りは母と駅で別れ、息子と二人地下鉄で帰りました。そんなことも以前はできなかったので、幸せを感じました。電車の席が空いたので座ると、息子が私の肩にもたれるように頭をちょんと乗せました。向かい側に座る男性が少し微笑んだように見えました。窓に写る自分たちを見ながら、なんだか夢のような気持ちになりました。

 昔、トンネルの中にいるような気持ちだった頃、自閉スペクトラム症の息子さんを持つ先輩ママさんから「今は一緒に映画を観に行ったり、コンサートに行ったりもできるよ。そんな日が来るよ」と言われ、そんな日は遥か彼方のように思えたけれど、それも夢じゃないと今は思えます。

 これからも諦めないで色んなことを一緒にやっていこうと思います。そうして、息子の世界も、私の世界も、広がっていくと良いなと思います。





 診察中に描いた息子の作品。この文字好きはどんな未来へつながっていくのかな。

365日の展覧会

はは、むすめ、むすこのアートな日々

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