軽くなった心と髪で。

  美容院が苦手になったのは、約7年前。施術中に急にドキドキして、息苦しくなるような感覚がしたのがきっかけでした。当時は息子が一番大変な時期で、心身ともに張り詰めていた状態だったのだと思います。そこへ久しぶりのパーマをかけ、長時間頭を温められていたせいもあったかもしれません。その時はただそれだけのことだと思ったのですが、それ以来、なんとなく苦手になっていきました。またあの時みたいになったらどうしよう。そんな気持ちがふと湧いてくるのでした。

 それでも髪を切らないわけにはいかないので、工夫しながら行きました。カットのみにして短時間で帰れるようにしたり、平日の空いている時間に予約したり。実際、美容師さんとおしゃべりをし出すと不安な気持ちは忘れるため、美容院にいる時の私は積極的におしゃべりをしていました。リラックスするという時間ではなく、挑むような感じがしていました。今日も無事に終われた〜と、そこでようやくホッとするのです。

 そんな感じで大分良くなってきたかなと思っていたのですが、最近また少し美容院に行くのが億劫な気分になる傾向がありました。その気持ちをスルーして、気にしないふりをしていたけれど、根本的に向き合わないと何度でもやってくるものですね。やり過ごしていてはいけないのだと悟りました。

 今回も不安が強く出そうな気配がしたため、思いきって担当の方に伝えてみました。「シャンプーが苦手で…」。すると担当の方は「じゃあなしでいいですよ。カットの後にしましょう」と爽やかに言ってくださいました。よかった…!この際正直に色々伝えてしまおうと思い、どういうことが苦手なのかを伝えました。「了解です!できるだけ短時間でしましょう。大丈夫ですよ、そういう方他にもいますから」。爽やかにサラッと言ってくださいました。深刻に受け止められすぎたら困るなーと思っていたので、その対応は私の心を軽くしてくれました。

 その後のシャンプーはいつもと全然違いました。私が苦手だということを相手が知っていてくれている。そう思うだけで安心できたのです。今までは平気なふりをして我慢していたけれど、もうそんな必要ないんだ。そう思うだけで重たい何かから解放される気がしました。

 一人でなんとかしようと思うんじゃなくて、相手にも協力してもらう。困っていることを素直に打ち明けてみる。その境地は私にとって別次元でした。何年もの間、地味に苦しい思いをしてきたけれど、助けを求める勇気を持てば、扉は開く。そう、私にとってこの課題は、他の場面でも思い当たる。これまでも、今も。

 そして助けを求める勇気を出した先には、担当の方と一歩踏み込んだ会話をできる世界が待っていました。

 数年ぶりに短く切ったヘアスタイルは、学校の先生からも家族からも褒めてもらえました。息子も真っ先に「ママ、髪切った?」と言ってくれました。びっくりです。

 軽やかになった心と髪で、開いた扉の先へまた一歩踏み出します。


息子とパパとおじいちゃんで見に行った雲海。世界は広いなー。

365日の展覧会

はは、むすめ、むすこのアートな日々

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