「良い1日にしようね」

 我が家のリビングの壁には、最近トークンが貼ってあります。トークンというのはABAのトークンエコノミーシステムに用いるもので、本人にとって価値ある強化子と交換できる代理物のことです。例えば、適切な行動に対してシールを貼ったり◯などの印をつけ、決められた数を貯められたら、本人にとって価値ある強化子と交換ができるというものです。

 1ヶ月ほど前に息子の調子が崩れ始めた頃、このトークンを使ってモチベーションを上げ、息子の良い状態をキープする取り組みをしてきました。時間を決め、良い状態で過ごせたら、息子の好きなタブレットやゲームができるというもの。息子はメキメキと良い状態になっていきました。やはり息子には強化がよく入ります。

 言葉で言うだけより、視覚で示した方が分かりやすいため、決めた時間と、OKだった時の◯印を書くようにしていました。最初の頃は詳しく書いていましたが、もうルールが分かっているので簡単に書いたものでも息子は理解できます。

 私はひとつだけ、省略せずに書き続けた言葉がありました。毎日日付を書くとき、日付の横にこの言葉を添えました。

「良い1日にしようね」

 それは、タブレットやゲームができるという強化子の先にある、本来の目的だからです。社会的強化子と言いますが、本来は良い一日を過ごすことこそが、息子にとって良いことである。それを理解してもらいたいという思いで書き続けました。

 続けているうちに、息子が自分からトークンを書いてくれるようになりました。「今日の分、書いておいてくれる?」と息子に依頼して、しばらくして見てみると…



 私がいつも書いている「良い一日にしようね」というフレーズも一緒に書いてくれているではないですか!驚きました。そして、息子がよく口にする言葉に、このフレーズが仲間入りしたのです。「良い一日にしようね」。自分の言葉として、息子が獲得してくれたのでした。

 今までは「◯◯したら◯◯になっちゃうね」といった、ネガティブなフレーズもよく口にしていた息子です。それは、そういうと周りから「そんなことしちゃダメだよ〜」と反応がもらえるため、息子の中で強化されていってしまったのだろうと思います。

 もっとポジティブな、みんなが笑顔になるようなフレーズが口癖になってくれたらいいな。そう思っていたので、「良い一日にしようね」を言ってくれるようになったことは、私の大きな喜びでした。この言葉をかけられて、嫌な気持ちになる人はいないのではないでしょうか。息子の言葉のストックに、気持ちの良い言葉をたくさん増やしてあげたいな。今回、視覚的に見える状態にしたことで、きっと息子は覚えやすくなったのでしょう。これは大きなヒントです。良い言葉をたくさん書いていこう。そう思いました。

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はは、むすめ、むすこのアートな日々

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