「サンドイッチ美味しいね」
「今日も良い日にしようね」
朝の交差点。息子の言葉が街に響き渡る。たくさんの人が行き交っている交差点だけれど、みんな黙々と歩いているため、意外と静かだ。息子の声がよく通る。
少し気恥ずかしいような気持ちになる。そんなことを言っている人、いないから。しかも息子は結構大きい。幼稚園児くらいの子が言うのとは訳が違う。
そんな世間の一般常識に当てはめて、「ちょっと恥ずかしいな。もう少し小さい声で言ってくれないかな」と思う自分がいた。人と違うことへの居心地の悪さ。そういうことを、これまでもたくさん経験してきた。
でもふと思ったのだ。息子のこの言葉を聴いた人の何人かは、心がふわっとほぐれたんじゃないかな。これから仕事へ向かう人たちの心の温度が、もしかしたら1度くらい上がったかもしれないぞ。私だったら、思わず笑みがこぼれるだろう。
あるがままの息子は、それだけで誰かを幸せにしているかもしれない。私にとって息子はそういう存在だから。なのに一歩外に出ると、みんなと同じようにしなくてはと思ってしまう不思議。他の人にとっても、息子はそうかもしれないのに。
そういう囚われから解き放たれて、自由でいようと思う。自分たちらしくいることが、他の誰かの力になることが、きっとあると思うから。
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